性感染症(性病)とは?

性感染症(性病)とは、
「性行為(SEX)で感染する病気」
のことをいいます。
性感染症の原因となる病原体にはウイルス・細菌・原虫があります。
これらの病原体は、性感染症に感染した人の
- 精液や膣(ちつ)分泌物
- 性器・肛門(直腸)周囲
- 口の中(口腔・咽頭)の粘膜・粘液
にひそんでいます。
性行為(SEX)をすることで、これらの病原体に直接ふれて感染していきます。
症状が軽かったり(軽症)、症状がなかったり(無症状)することもあります。
そのため、感染に気がつかないでパートナーにうつしてしまうのです。
そもそも性行為(SEX)とは?

性行為(SEX)とは本来は「子供をつくるために行う行為」であり、男性器を女性器に挿入(膣性交)することを意味します。
しかし、実際にはそれだけではなくパートナーとのコミュニケーションや快楽を目的として行われる行為も含まれています。
さらに現代では性の多様化もあり、ひとくちに性行為(SEX)といっても様々な行為があります。
性感染症(性病)の危険があるのは膣(ちつ)性交だけではありません。
どこで感染する?
次のような行為で感染の危険があります。
病原体を含む精液・膣分泌液・血液などが、性器や口の粘膜・皮ふに接触することで感染します。
逆に性行為以外の日常生活で感染してしまうことは通常ありません。
性感染症の原因となる病原体は人間の身体から離れて「単独」で生きていくことはできません。
そのため、性行為以外では通常感染しないのです。
会話や一緒にお風呂へはいったり、回し飲みをしても感染することはありません。
また不潔にしてるだけや、自慰行為で感染が発症することもありません。

性感染症はどんな症状がでる?
基本的には性器を中心に症状が出ます。
排尿時や性交時の痛みやかゆみは特徴的です。
またペニスや外陰部の表面にブツブツができることもあります。
女性の淋菌・クラミジア感染症は症状が出にくいので、気が付かないうちに感染を拡げてしまうことがあります。

いつ発症する?
性行為(SEX)の直後から症状がでるわけではありません。
感染後に症状が出る(発症)するまでには時間がかかります。
この時間を「潜伏期間」といいます。
潜伏期間は性感染症の病原体によって様々です。

「いつ」の性行為が性感染症の原因となったか、目安にすることはできます。
しかし、あくまでも目安になります。
早めに発症することも、無症状で経過することもあります。
感染したかもと思ったら?

あなたに疑う症状が出ているのであれば、しっかりと検査しましょう。
あなたが感染している場合は、パートナーも感染している可能性があります。
パートナーも感染している場合には、自分が治療しても再度感染します。
パートナーも検査することが大切です。
必ず一緒に検査・治療していきましょう。
まずはお気軽に相談してください
性感染症は治療することが可能です。
一人で悩まずに早く検査・治療をしましょう。
症状が出ている場合には保険診療(3割負担)が可能になります。
検査・治療ともに高額になることはありません。

感染を予防するには?
セックスをしない(NO SEX)
極論ですが、セックスをしなければ感染しません。
このノーセックス(NO SEX)も大事な選択肢の一つになります
安全なセックス(SAFE SEX)
不特定多数とのセックスはやめましょう。
今現在は特定のパートナーしかいなくても、以前にセックスした経験があれば、感染の可能性はあります。
- 二人とも感染していないこと
- お互いに他のセックスパートナーがいないこと
これらが確認できれば、二人のセックスは安全なものになります。
新しいパートナーができたら性病検査に関して話し合いましょう。
より安全なセックス(SAFER SEX)
コンドームを使うことで感染のリスクを減らすことができます。
コンドームは感染している人の精液や膣分泌液が、口や性器の粘膜に直接触れることを防ぎます。
正しいコンドームの使用方法を身につけましょう。
性感染症のリスクがあるオーラルセックスやアナルセックスでもコンドームを使用しましょう。
もちろん100%予防はできませんが、現時点では一番効果のある方法です。

性器クラミジア感染症
症状
Symptom
- 尿道からサラサラの「うみ」がでる
- パンツが「うみ」で汚れる
- おしっこを出すとき痛い
- 尿道に違和感がある
- 尿道がかゆい
- おりものが増えた
- 無症状のことも多い(約半数)
淋菌(淋病)
症状
Symptom
- 尿道からドロッとした黄白色の「うみ」
- パンツが「うみ」で汚れる
- おしっこを出すとき激しく痛い
- 尿道に違和感がある
- 尿道がかゆい
- おりものが増えた
マイコプラズマ
症状
Symptom
- おしっこを出すとき痛い
- 尿道に違和感がある
- 尿道がかゆい
- おりものが増えた
- 無症状も多い
性器ヘルペス
症状
Symptom
陰部(性器)や口、口唇(くちびる)周囲に下記のような症状が出ます。
- かゆみや違和感のある水ほう(水ぶくれ)
- 痛みのある丸い潰瘍(かいよう)
- 全身のだるさ
- 発熱(38度前後)

性器ヘルペスは単純ヘルペスウイルス(HSV)の感染が原因です。
ヘルペスの症状が出ている人の水ほう(水ぶくれ)、唾液、涙液などに触れると感染します。
特に水ほう(水ぶくれ)の中にはたくさんのウイルスが含まれています。
通常の性交渉だけでなく、
- オーラルセックス
- アナルセックス(肛門性交)
でも感染する可能性があります。
ウイルスには1型と2型があります。
HSV1型は口、HSV2型は性器に感染します。

最近はオーラルセックスの普及で、どちらでも感染の可能性があるようになりました。
症状がでていなくても唾液中にウイルスが含まれていることがあります。
あまりウイルスの型にこだわらずに、しっかりと治療していくことが大切です。
一般的にセックス(性交渉)から2~10日間後に症状がでます。
初めて感染した方は症状が重くでることが多いです。
陰部(性器)の水ほう(水ぶくれ)だけでなく、だるさ(倦怠感)や38度以上の発熱、おまたの付け根(鼠径部)のリンパ節がはれてしまうこともあります。
性器ヘルペスの検査は?
基本的には見た目や症状、感染機会の有無などで診断がつきます。
血液(血清抗体)検査は診断の役にたたないのでおすすめしません。
血液検査で「陽性」とでても必ずしも感染しているとは限らないからです。
昔ヘルペスウイルスの一種に感染したことがある(既感染)だけのこともあります。
性器ヘルペスの治療法は?
1.初めての感染(初発)
抗ウイルス薬(飲み薬)
重症の場合には点滴治療が必要になることもあります。
処方例
- アシクロビル200mg
1日5回5~10日間 - バラシクロビル500mg
1日2回5~10日間
2.2回目以降の感染(再発)
抗ウイルス薬(飲み薬)
発症してからすぐに内服を開始することが大切です。
発症後6時間以上たつとウイルスの抑制率が20%低下する報告があります。
再発を繰り返す方には、あらかじめ抗ウイルス薬をお渡しすることもあります。
もしかしてヘルペスかも!?
という症状(前駆症状)が出た時点で内服を始めると、水ほう(水ぶくれ)や潰瘍の出現を予防できることもあります。
重症では点滴治療が必要になります。
処方例
- アシクロビル200mg
1日5回5日間 - バラシクロビル500mg
1日2回5日間
3.ぬり薬(軟膏)
ぬり薬(軟膏)は局所を保護する程度の効果しかありません。
ウイルスの排出を抑えることはできません。
また治るまでの期間も短くなりません。
処方例
- 5%アシクロビル軟膏
1日数回5~10日間塗布
パートナーはどうする?
無症状なら原則検査は不要です。
症状がない方に検査をしても正確な診断はできないからです。
感染しても症状が出ることなく生涯を終える方もいます。
もしパートナーにも症状(水ぶくれや痛い潰瘍)がでた場合には必ず病院の受診をすすめてください。

参考文献:性感染症 診断・治療 ガイドライン
尖圭コンジローマ
症状
Symptom
- 表面がぶつぶつ(粒状)したイボ
- ニワトリのトサカ、カリフラワーのようなイボ
- じゅくじゅくして悪臭がでることも

放置すると数がふえたり、大きくなってくることもあります。
ヒト乳頭腫ウイルス(HPV6型・11型など)が原因の性感染症です。
ウイルスが陰部の粘膜や皮膚から浸入して感染します。
通常は性交渉から2~3カ月後(潜伏期間)に出現します。
出現するまでに時間がかかるので、いつ感染したかわからないこともあります。
尖圭コンジローマの検査は?
基本的には見た目や症状、感染機会の有無などで診断がつきます。
ときにイボの一部をとって顕微鏡でみる検査(病理検査)を行うこともあります。
尖圭コンジローマの治療法は?
1,イミキモド5%クリーム
(ベセルナクリーム5%)
患部にわざと炎症をおこすことで、
自分自身の免疫力を利用してウイルスを殺すぬり薬です。
使用方法
- 週3回イボにぬる
- イボ表面にうすくぬる
- お薬がついた手はしっかり洗う
- 6~10時間後にしっかり洗い流す
- 原則的16週間まで使用可能
わざと炎症を起こす薬なので適切に使用しないと思わぬ副作用があらわれます。
以下のような使い方は、副作用の原因になります。
効果を最大限に高め、副作用を最小限にするためにも正しい使用法が大切です。
2.凍結療法(液体窒素)
液体窒素につけた綿棒や液体中のスプレーを使います。
イボを凍結させることで治療します。
1~2週間に1回のペースで治療をする必要があります。
3.レーザー治療
大きいイボにはレーザー治療が効果的なこともあります。
レーザーでイボをやいて治療します。
当院ではレーザーは実施していません。
必要な場合はレーザー装置のある専門の施設を御紹介します。
パートナーはどうする?
無症状なら原則検査は不要です。
感染してたとしても症状が出ることなく生涯を終える方もいます。
もしパートナーにもイボができた場合には、病院の受診をすすめてください。

尖圭コンジローマ治療の注意点
尖圭コンジローマは1回の治療だけで治ることはありません。
複数の治療を組み合わせる必要もあります。
再発することもしばしばです。
早めに治療を開始することで、治療期間を短くすることができます。
もしかして!?と思ったら。
いつでも気軽にご相談ください。
参考文献:性感染症 診断・治療 ガイドライン
性器カンジダ
症状
Symptom
- 亀頭のかゆみ、痛み、赤み(発赤)
- カリの部分のかゆみ、痛み、じゅくじゅく
- おしっこするときの痛み

性器カンジダの検査は?
基本的には見た目や症状、感染機会の有無などで診断がつきます。
性器カンジダの治療法は?
1.ぬり薬(軟膏)
カンジダを殺す抗真菌薬(イミダゾール系)の軟膏を使用します。
1日2~3回、患部にぬります。
ぬり薬
パートナーはどうする?
パートナーが女性の場合には自覚症状があれば婦人科受診をおすすめします。
女性は男性と比べて症状がでやすいです。
女性の性器カンジダ
- 外陰や腟のかゆみ(掻痒感)
- 外陰や腟の灼熱感、痛み
- おりもの(帯下)の増量
- ヨーグルトのようなおりもの(帯下)
- 性交痛
- おしっこが出ずらい(排尿障害)
このような症状に注意しましょう。
パートナーが男性の場合には、何もせず様子をみてください。
男性は症状が出ることは少ないからです。

参考文献:性感染症 診断・治療 ガイドライン
梅毒
梅毒と聞くと昔の病気に感じませんか?
梅毒は遊郭が栄えた江戸時代の花魁(おいらん)、遊女たちが苦しめられた病気です。
しかし、ここ数年で若者を中心に増加しており社会問題になっています。
梅毒は性感染症の1つで、梅毒トレポネーマという細菌が粘膜から感染することで発症します。
保菌者と避妊具なしで性交すると、30~40%の確率で感染すると言われています。
少量の唾液や飛沫で感染する可能性は極めて低いです。
注射の回し打や不衛生な刺青の刺入によって血液感染することはあります。
症状
Symptom
- 陰部にブツブツ
- 手のひら、足のうら、身体にブツブツ
- ブツブツが自然に治った

症状は第1~4期に分類されます。
感染後3~6週間前後の潜伏期間をへて発症します。
感染後 | 部位 | 症状 | ||
---|---|---|---|---|
潜伏期 | 0~3週間 | 無症状 | ||
第1期 | 3週間~ | 性器・肛門・口 | 3㎜~3㎝のブツブツ | 1カ月で消える |
第2期 | 3カ月~ | 手のひら・足のうら・体 | 赤いブツブツ(バラ疹) | 半年で消える |
第3期 | 3年~ | 全身の皮膚・筋肉 | ゴムのような腫瘍 | |
第4期 | 10年~ | 脳・心臓 |
第1~2期のような感染初期は治療しなくても症状が改善することがあります。
しかし、体内から菌が消えたわけではなく、他人へ感染させる可能性もあります。
また初期症状は痛みや痒みを伴わないこともあり、感染に気がつかないこともあります。
また妊婦さんの梅毒感染は問題です。
流産や死産をおこしたり、赤ちゃんが障がいをもって生まれてしまうことがあります。
梅毒の検査は?
1.採血検査
感染機会(性交渉など)から4週間以上経っていれば、検査できます。
採血検査で感染の有無を確認します。
2種類の検査項目(RPRとTPHA)で判定します。
検査結果の見方を下記に示します。
RPR | TPHA | 判定 |
---|---|---|
- | - | 梅毒ではありません(まれに感染初期の可能性) |
+ | + | 梅毒に感染しています |
+ | - | 梅毒感染初期の可能性があります(または生物学的偽陽性) |
- | + | 感染治癒後です |
梅毒感染を確認したら治療を開始しましょう。
治療開始後は1カ月を目安に血液検査をします。
血液検査でRPRが「陰性」となれば治癒になります。
しかし、梅毒は治癒の判定が難しいです。
治癒していてもRPRが「陽性」(基準値より上)のままになることがあります。
その場合は2~3カ月おきに採血検査をして治癒の判定をおこないます。
また梅毒はHIV感染を併発していることもあります。
梅毒感染を確認したら、念のためHIV検査もおすすめしています。
梅毒の治療法は?
1.抗生剤(抗菌薬)
梅毒はペニシリン系の抗生剤が効きます。
進行度合いによって内服する期間が異なります。
内服期間 | |
---|---|
第1期 | 約2~4週間 |
第2期 | 約4~8週間 |
第3期 | 約12週間 |
梅毒への抗生剤
- アモキシシリンカプセル250mg
1日3回 1回2カプセル内服 4週間~ - ミノマイシン(ミノサイクリン)100mg
1日2回内服 4週間~ ※ペニシリンアレルギーの方へ処方・妊婦さんは内服禁忌 - アセチルスピラマイシン200mg
1日6回内服 4週間~ ※ペニシリンアレルギーの妊婦さんへ処方
性病検査・治療
(自由診療)

性病は自費で検査・治療できます。
こんな方が対象です
- 症状はないけど性病が心配
- パートナーが性病になった
- 保険証を使わずに検査、治療してほしい
通常、病気をすると健康保険が適応されます。
これにより負担する費用が少なくてすみます。
一方で自由診療は保険が聞かないので全額自己負担になります。
性感染症を保険診療で行うデメリット、自由診療とするメリットは以下になります。
保険診療のデメリット
- ご家族や会社に診療内容が伝わる恐れがある
- 原則として症状が出ていないと検査・治療ができない
保険診療では保険証を使用します。
年に1回ご自宅に届く「医療費のお知らせ」には保険診療を受けた医療機関が記載されます。
それにより、受診したことがご家族にも伝わる可能性があります。
自由診療のメリット
- 家族や会社に知られることなく検査、治療することができる
- 症状がなくても検査することができる
保険証を使わないため、「医療費のお知らせ」に記載されません。
ご家族や会社に受診を知られることはありません。
症状がなくても検査できるので定期的な性病チェックに利用いただくこともできます。
気になる方は気軽にご相談ください。
検査料金(通常)
検査項目 | 料金(税込み) |
---|---|
淋菌・クラミジアPCR(尿・のど・分泌物) | ¥9,900 |
淋菌PCR(尿・のど・分泌物) | ¥5,500 |
クラミジアPCR(尿・のど・分泌物) | ¥5,500 |
梅毒(血液) | ¥6,600 |
HIV抗原・抗体(血液) | ¥6,600 |
B型肝炎(HBs抗原)(血液) | ¥6,600 |
C型肝炎(HCV抗体)(血液) | ¥6,600 |
亀頭包皮炎(皮ふ) | ¥5,500 |
カンジダ | ¥5,500 |
トリコモナス | ¥5,500 |
ウレアプラズマ培養 | ¥5,500 |
マイコプラズマ・トリコモナスPCR | ¥9,900 |
一般細菌(尿) | ¥5,500 |
セット料金
まとめてお得
検査項目 | 料金(税込み) |
---|---|
【尿・のどセット】 淋菌・クラミジアPCR | ¥16,500 |
【血液セット】 (梅毒+HIV+B型肝炎) | ¥16,500 |
【性感染症セット】 尿のどセット +血液セット | ¥29,700 |
【フルセット】 性感染症セット +マイコプラズマ・トリコモナスPCR +ウレアプラズマ培養 | ¥44,000 |
【性感染症セット】は以下のような方にオススメです
- 新しいパートナーができた
- 性風俗店を利用した
- 定期的な性感染症のチェック
治療料金
検査項目 | 料金(税込み) |
---|---|
クラミジア・飲み薬 | ¥11,000 |
淋菌・点滴 | ¥5,500 |
亀頭包皮炎・塗り薬 | ¥5,500 |
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